12月1日に閉会した第150回臨時国会で成立した主な法律、予算は次のとおり。

―予算―

●二〇〇〇年度一般会計補正予算
森内閣の『日本新生プラン』に向けた経済対策(事業規模十一兆円)のためなどに、四兆七千八百三十二億円を計上。社会資本整備費(国費二兆五千億円)の二十六%を情報技術関連に充てたが、従来型の公共事業も盛り込まれた。

―議員立法―

●あっせん利得処罰法
国会議員や公設秘書、地方議員、首長が、国や地方自治体の契約や行政処分について請託を受け、公務員に対して「権限に基づく影響力を行使して財産上の利益を収受」した場合、三年以下(公設秘書は二年以下)の懲役刑となる。

●改正少年法
厳罰化の方向で[1]刑事罰対象を現行の十六歳以上から十四歳以上に引き上げる[2]十六歳以上が故意の犯罪で被害者を死亡させれば原則家裁から検察側に逆送し刑事裁判にかける[3]凶悪事件で家裁の少年審判に検察官立会いを認める―が柱。

●原子力発電施設等立地地域振興特別措置法
原発関連施設の周辺地域で、道路、鉄道、港湾整備、産業など幅広い事業に補助金を上乗せするのが目的。都道府県知事が振興計画を立案し、首長を議長として新設される原子力立地会議が承認する。

●改正公職選挙法
参院選の比例区を、候補者個人への投票も認める非拘束名簿式に改める。候補者への投票は一度所属政党への投票とみなして、政党への投票と合算される。議席を各政党の得票に応じて比例配分した上で、個人票の多い順に当選する。参院の定数十減(比例区四.選挙区六)も盛り込んだ。

―政府提出―

●医療保険制度改正関連法
七十歳以上については現在の外来一日五百三十円の定額制が、かかった費用の一割を負担する定率制になる。七十歳未満でも「高額医療費」制度の改正で、医療費が一定額を超えればその分の一%も自己負担となる。

●改正警察法
警察不祥事を受け、国や都道府県の公安委員会の監察機能を強化。警察庁や都道府県警に監察を指示し、その進み具合を点検する権限を公安委に持たせる。住民が警察への苦情を公安委に申し出る制度や地元警察署の問題を協議する機関も設ける。

●ヒトクローン技術規制法
ヒトや動物の卵子の核を除き、そこにヒトの体細胞を移植した「人クローン胚」を人や動物の子宮に移植することを禁じる。違反した研究者を二十年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金を科す。また違反者が所属する研究機関などにも罰金を科す。

●公共工事入札・契約適正化法
元建設相の受託収賄事件などをふまえ、公共事業の透明性確保を目指す。工事を発注する省庁や地方自治体に対し、入札と契約の過程の公表を義務付け、受注業者が下請け業者に工事を「丸投げ」することの禁止などを定める。

●IT基本法
「広く国民が低廉な料金で利用することができる世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成」を基本方針として、具体的な目標や達成期限を定めた重点計画を作ることを定めている。首相を本部長とする「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」の設置も盛り込んだ。

●船舶検査法
「周辺事態」が起きた場合、紛争当事国への経済制裁の一環として、不審な船の積み荷などを検査できるようにする。国連安全保障理事会の決議がある場合に加え、対象の船が所属する「旗国」の同意を得られた場合も実施できる。

●任期付き任用法
専門知識を持つ民間人を外部から政府に登用するため、一般職国家公務員の任期付き任用制度を導入する。

〈成立したその他の法律・条約〉
租税特別措置法改正/国会議員秘書給与法改正/人健教育・啓発推進法/未成年者喫煙禁止法、未成年者飲酒禁止法改正/酒税法改正/マンション管理適正化推進法/国会法改正/市町村合併特例法改正/在日米軍駐留経費負担新特別協定/農地法改正/労働者災害補償保険法、労働保険保険料徴収法改正/一般職職員給与法改正/訪問販売法、割賦販売法改正/家畜伝染病予防法改正/民事再生法改正/外国倒産処理手続き承認援助法/著作権等管理事業法/書面交付等情報通信技術利用関係法整備法/一九九九年度決算剰余金処理特例法/中小企業信用保険法、中小企業総合事業団法改正/地方交付税法改正