日本産業再生議連 中間とりまとめ

 私も所属致しております『日本産業再生議員連盟』の若手の先生方が、平沼赳夫経済産業大臣に「日本産業再生への5つの基本戦略」の中間取りまとめを、議員連盟として要望致しました。大臣との懇談の中で、中小企業に対する特別融資額の返済期間の大幅延長・中小企業の承継税制の見直し・外形標準課税導入反対etcの意見交換が行われました。今後も要望活動を継続することを確認して終了致しました。


 

日本産業再生議連 中間とりまとめ
“知的産業大国を目指して”
〜日本産業再生への5つの基本戦略〜

基本認識

  1. デフレ脱却と持続的成長のための構造改革の両立
    現下のデフレ脱却のための各般にわたる総合的対策の実施が、わが国経済再生の大前提。 同時に、持続的成長実現の観点から、牽引役であるべき製造業等の再生・強化が不可欠。(尚、中長期的には、税収中立の確保、官と民の役割分担の見直し、社会保障制度改革等を通じて、財政健全化を図ることが肝要)
  2. 競争力強化のカギは“知”と“投資”
    製造業を中心とする産業競争力強化策の基本は、“知”(=人材、技術、情報)とマネーが内外から集まり、これらを活用することにより、知的価値が拡大再生産される強靭な知的産業大国を追求すること。特に、1400兆円に達する膨大な個人金融資産を有効に活かすことが急務。
  3. 時間と成果を意識した改革の断行
    世界経済の激変と変化の加速化を視野に入れ、知的産業大国構築のための大胆な制度設計に創意工夫をこらすとともに、時間を意識しつつ、“選択と集中”による成果重視型の戦略・政策を打ち出し、推進することが重要。
     

5つの基本戦略

  1. 魅力的な投資環境の整備
    グローバリゼーションの進展を背景とする“大競争時代”は、各国の経済社会システムの優
    劣が問われる時代であり、一国経済の盛衰は、政府の魅力的な投資環境整備能力にかかっ ていると言える。このため、金融、税制、諸制度等各分野において抜本的なインセンティブ強化策を講じることにより、総体的に世界最高水準の投資環境を整備することとする。
    ●設備投資の促進
    設備投資促進税制の拡充
    法人税率の引き下げ
    連結納税制活用のための付加税の早期廃止 等
    ●創業支援の強化
    エンジェル税制の抜本的拡充
    ベンチャー資金供給手段の多様化
    個人保証の上限設定 等
    ●経済インフラの整備
    拠点空港・港湾の重点的・加速的整備
    高度情報通信網の早期整備
    自由で開かれた金融資本市場の整備 等
    ●高コスト構造の是正
    エネルギー、物流及び通信コストの引き下げ 等
    ●規制及び官民の役割分担の見直し
    「規制改革推進3ヵ年計画」(2001〜2003年度)の前倒し実施
    公共部門のアウトソーシング及び民間開放の促進 等

  2. “知的産業大国”を支えるイノベーションの推進
    わが国産業の競争力強化と持続的成長実現の鍵は、技術開発、企業経営、制度・慣行等
    での絶えざるイノベーションを通じて、高付加価値創造型産業構造を実現することに尽きる。
    このため、産官学連携の強化、知的財産権戦略の展開、選択と集中を旨とする事業再編、
    新しいビジネスモデルを駆使した市場開拓等、各般にわたるイノベーションを強力に推進す
    ることとする。
    ●研究開発の促進
     研究開発促進税制の抜本的拡充
     重点分野への予算の集中投入
     産学官連携の強化
     省庁連携によるシナジー効果の発揮
     大学の国際競争力強化 等
    ●知的財産戦略の展開
     知的財産基本法(仮称)の早期制定
     知的財産権の早期付与と保護の強化
     知的財産の有効活用 等
    ●企業・産業の再編と革新の促進
     産業活力再生特別措置法の強化
     新ビジネスモデルの構築による内外市場の開拓・生産性向上等の促進 等

  3. 人的資本の増強
    知的産業大国構築の主役は、人そのものであり、優秀な頭脳資源、ベンチャー精神溢れる企業家、良質で勤勉な勤労者等の確保および育成は、米国や中国の事例をみるまでもなく死活的重要性を有している。
    このため、“人材大国日本”を目指し、教育改革や外国人パワーの積極的活用等、 広範な人的資本の増強策を講ずることとする。
    ●教育改革の徹底
     ゆとり教育の再考と理数及び英語教育の重視
     大学への各種競争メカニズムの導入
     本格的ビジネススクールの展開による経営人材の養成 等
    ●高齢者及び女性パワーの積極的活用
     労働法制の見直し
     社会保険制度の見直し
     再教育システムの強化 等
    ●外国人パワーの導入促進
      研究者、経営者等外国人頭脳の流入促進とそのための諸環境の整備
     ODA活用による海外日本語教育体制の整備
     国家間の取り決めによる外国人技能労働者の計画的受け入れ拡大 等

  4. 経済安全保障体制の確立
    わが国経済の安定的発展のためには、食料、資源・エネルギーのセキュリティ確保はもとより、サイバーテロ対策、知的財産権の海外流出の防止、国際経済ルールの公正な適用よる国内産業および雇用の確保等、多様な分野における対応策を整備する ことが重要。
    このため、「経済安全保障基本法」(仮称)の制定や関連分野の経済安全保障体制確立に向けたアクションプログラムを策定し、具体化を図ることとする。
    ●食料自給率の向上
     コメ等国産品の消費拡大
     バイオ、ロボット等ハイテク活用による生産性の向上
     安全の徹底確保 等
    ●資源・エネルギーの安定供給の確保
     石油等海外資源・エネルギー獲得競争への積極的参入
     国内備蓄体制の整備と消費国間相互協力システムの構築
     先物市場の整備 等
    ●高度情報通信セキュリティの確保
     サイバーテロ対策の強化
     大規模システム障害対策の充実
     ウィルス対策の徹底 等
    ●知的財産対策の強化
     安易な海外流出防止策の構築
     模倣品対策の強化 等
    ●国際経済ルールの公正な運用と交渉における国益の確保
     セーフガード条項等各種国際ルールの公正な運用
     WTO交渉等各種国際交渉における国益の徹底追求 等
    ●経済安全保障基本法(仮称)の制定
     多様な分野のセキュリティ確保及びリスクマネジメントの徹底のための基本法の制定及び同法に基づくアクションプログラムの策定・点検の検討
     
  5. 東アジア経済圏の形成
    EU、NAFTAに代表される地域経済圏の形成・台頭、隣国中国の躍進等アジア経済の発展およびわが国とアジア諸国との済的関係の深化等に鑑みれば、今後のわが国経済発展の“マジノライン”は、アジアとの有機的共生にあることは明白。このため、向こう10年を目途に東アジア(アセアンプラス3)経済圏を形成するとともに、将来的なアジア共通通貨圏の構築視野に入れて、東アジア諸国との通貨協力体制の強化を図ることとする。
    ●東アジア自由経済圏の形成
      (内容)
       人、モノ、サービス、カネの自由な移動を可能とする自由経済圏の形成
      (地域)
       アセアン プラス3
      (目標時点)
       2010年代初頭
       ※このため、早急にアセアンプラス3に属する諸国の合意形成を図り、 準備作業に着手する。
    ●東アジア共通通貨圏の構築
     東アジア自由経済圏の形成に向けた取り組みと並行して、通貨安定の観点から、現在進捗中の二国間通貨スワップ協定の拡大を図るとともに、最終的には、東アジア共通通貨(通貨バスケット方式)の創設を目指し、アセアンプラス3の合意形成を図る。