法科大学院について

衆議院議員 左藤 章

2004年、いよいよ法科大学院がスタートする。司法全体を見直し改革する視点から、国家プロジェクトとしての法科大学院である。政府の司法制度改革推進本部、党の司法制度調査会・法務部会・各小委員会で様々の議論をしてきた。法曹三者だけでなく法律隣接専門職(弁護士・公認会計士・税理士・司法書士・土地家屋調査士・社会保険労務士・行政書士)の方々をも巻き込んだ改革としなければならない。

  1. 「専門知識を持った法曹人」

     司法試験合格者が、2003年には1200人、2010年には3000人となり、法曹人が現在の1万7000人から5万人と大幅増員される。国民が司法に参加しやすく、裁判のスピード化が目標である。一方急速な情報化、国際化により、今まで経験したことのない犯罪が起きている。

     法科大学院は、民事・刑事に関する教育はもちろん、知的財産・医療・金融・建築などの専門知識と国際性豊かな法曹人の育成が急務であり、学生も従来型の文化系中心から、理工系の学生の参加が求められる。

     教授スタッフも法律の専門知識はもちろん、実務を知った人材、教育者としてふさわしい意欲と適性を備えた先輩の法曹人(裁判官・検事・弁護士・会社の法務担当者)、近隣の実務者に指導してもらう必要があり、そのカリキュラム、又派遣側と受入側との対応を明確にしておく必要がある。
  2. 「法科大学院と学生に対する財政支援」

      少数精鋭の為授業料が高くなる(200万円/年 〜250万円/年とも言われている)ので、奨学金・政府保証ローン等の充実、かつ大学院への国公私立を問わず、適切な評価の結果を踏まえつつ、公的資金による財政的支援の不可欠、それぞれの法科大学院は複数の認証機関による第三者評価を受け信頼性の高い情報開示、又、質の向上を図るべきである。
  3. 「法科大学院後」

      司法試験に合格すると一年くらい司法修士生として研修を行うが、それだけでは専門知識以外のもの、つまり社会通念と人間性を会得することができない。これからの司法界は単なる知識を持ったエリートだけでなく、一般社会常識を持った人間性豊かな法曹人を期待しているのである。その為には異業種を含めて出向したりして実体験を積んで欲しい。(特に裁判官になる人)


IT社会構築へ向けて

衆議院議員 左藤 章

 E−JAPAN計画を完遂する為には色々難関はあるが、しかし電子政府を目指して世界冠たるIT国家を構築する必要がある。

  その中で放送通信の諸問題について意見を述べる。

【IT戦略】

  ITを初めてテーマにしたサミットが沖縄で開催された2000年の段階では皆無に近かったADSLの利用者は700万人を突破、BSデジタル放送の受信者が400万人に近づき、ブロードバンドの常時接続通信料金も世界で最も低廉な水準となった。

 このような状況の下、国民にとって便利さ豊かさが実感できるようなITの利活用を推進するとともに、デジタルテレビ、移動端末、情報家電など我が国の強みを活かした日本型IT社会の構築を図るべきである。また、企業のIT利用を単なる経費節減、経営効率化型から事業拡大、付加価値創造型に切り替えることによって、我が国産業の競争力強化を実現するべきである。

 

【デジタルアーカイブ】

  文化財や美術品、放送番組等をデジタル化して保存することは、我が国の文化を将来世代に伝える重要な国家的なプロジェクトである。また、デジタル化されたコンテンツがブロードバンドネットワークにより流通することは、新しい文化産業を創出することになる。

  そこで、我が国の文化の向上、新産業の創出の観点から、全国の美術館・博物館・図書館の有する文化遺産等のデジタルアーカイブ化を進めるとともに、これらのほか放送用コンテンンツ、ゲーム・アニメコンテンツなどのブロードバンドによる流通、利活用を拡大支援するべきである。

  また我が国の文化を、インターネット等を通じてアジアをはじめとする諸外国へ積極的に発信していくべきである。

【デジタル放送】

  デジタルの地上放送が本年12月から東京、大阪、名古屋の三大都市圏でスタートする。地上放送のデジタル化は、映像・音声の高品質化は勿論のこと、双方向性の実現によって、従来の「見る」テレビを「使う」テレビに革命的に変質させる。この結果、テレビは、パソコンには馴染みにくい高齢者を含め全国民にとっての家庭のIT基盤を形成するものとなる。

  そこで、電子自治体における地域情報提供のツールとして活用するなど地上デジタル放送を国のIT化のためのインフラとして明確に位置付けるとともに、全国あまねく整備の為に国が民間を支援すべきである。

【地域格差のないインフラ整備・電波利用】

  今後、本格的なIT社会を迎える中で、国民が容易に情報を入手し、或るいは自ら情報発信の主体となることは、国民が主人公である民主主義実現の基盤となる。

  そこで、ADSLや光ファイバ網等の高速・超高速のブロードバンドインターネットを地域格差無く、全国均衡のとれた形で整備していくことが必要である。

  また、電波の再配分等を積極的に行い、インターネットのアクセス手段として、或るいはユビキタス社会の通信手段として無線の活用を戦略的に進めていく必要がある。

 

【セキュリティー】

  先般、韓国などを中心に大規模なインターネット障害が発生した。幸い、我が国では、大きな被害は発生しなかったが、中東や北朝鮮をめぐる国際社会の緊張からサイバーテロの危険性も指摘されている。国民が安心してIT利用するためのセキュリティーの強化・充実、プライバシーの保護が重要な課題である。このため、個人情報保護法を早期に成立させ、国民のプライバシーを確保出来る環境を早期に整備するとともに、政府としての体制強化、民間のセキュリティー意識の向上啓発に積極的に取り組む必要がある。