6月13日に2回目の後期高齢者医療制度の保険料天引きが行われます。
後期高齢者医療制度の必要性は本当にあったのだろうか?
改めて、なぜ新たな医療制度が必要であったのかですが、日本は今後超高齢化が進むため、これまでの医療制度ですと、現在医療費が年間約12兆円かかっている75才以上の方の総人口が、20年後には30%を越え、年間30兆円を超える医療費が発生すると言われています。
そこで、財政面でしっかり支えるため、新制度が必要だと考えられ、75歳以上の方を対象にスタートしたのが、後期高齢者医療制度です。しかし、国民皆保険制度の中で75歳以上の方の保険制度をあえて分ける必要があったのか疑問に思います。
「75歳以上から入院率が急激に高まる」との厚生労働省の話ですが、74歳から1つ歳を重ねただけで区切られてしまうのは感情面からも納得のできないことだと思います。
今後も高齢者医療を安定させて継続していくためには何らかの施策は必要ですが、国民の理解を得る為にも健康保険制度全体をどうするかというのが論点となると思います。
5月23日、民主党など野党4党は、来年の4月に制度を廃止して、元の制度に戻すという廃止法案を参議院に提出しました。しかし、新制度を廃止した後の政策はどうするのでしょうか。
今後益々増加していく高齢者のための医療費の財源をどう確保するのでしょうか。
負担を先延ばしにするのでは、真の解決策にはなりません。
現在の団塊世代が高齢者になる今後10年20年後はどのように対処するか、単に廃止を叫ぶだけでなく、代替案を挙げてほしいと思います。
後期高齢者医療費の負担
私は、高齢化によって増えていく医療費は、これまでの老人保健制度で行われていた現役世代の支援だけに頼るのではなく、現役世代と公費、そして、高齢者世代、つまり国民全体で負担するべきだと考えています。
4月からの後期高齢者医療制度は、若い人が支援金として医療費の4割、後期高齢者が1割、残りの5割を公費で賄います。高齢者医療制度を維持するため、現行制度のルールの骨格は良いと思います。
しかし、もう一度議論し見直す必要がある点はあります。
例えば、国民年金の収入しかないなどの低所得者層の負担の見直しです。
また、派遣業者をも含む健康保険組合が後期高齢者支援金拠出により負担増になったことも問題だと思います。
企業健保が立ち行かなくなることや、賃金の低い労働者の負担が重くなりすぎないようにすることも考えていかなければならないと思います。
そのような歪をなくす為にも窓口負担を2~3割にするというのも一つの方法だと思います。
安定した医療制度の確立・無駄を省く
高齢者に適した医療が提供できるように手直しするとともに、現役世代の理解が得られ、そして、何より高齢者増により医療制度の仕組みが崩壊しないように今のうちから医療制度を確立しておく必要があると思います。
財源については、消費税の目的税化やガソリン税の一般財源化分を医療費に回すなども考えられますが、まず、最も重要なのは医療費の無駄をなくすことだと思います。
過剰診療や過剰投薬などの問題もよく聞きますし、患者の方もたくさんの薬を処方してもらうことで安心してしまう風潮もみられます。本当に病状にあった投薬なのかなど、無駄な出費はないのか今後も見ていく必要があると思います。