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<2009年04月13日>09年度予算と日本の景気

09年度予算

 先日、09年度予算とその関連法案が成立しました。

 景気対策関連の予算について、本年度は事業規模にして約37兆円にのぼり、昨秋より成立した08年度1次補正と2次補正とを併せると、総事業費は75兆円にもなります。

この巨額な予算の効果を早く出すためにも、出来るだけ上半期に集中して執行すべきではないかと思います。
輸出が大幅に減少し、外需を中心とした経済が厳しい今、適切な更なる財政出動が必要です。早急に09年度の補正予算の審議に入るべきですが、民主党など野党の対応次第では、成立が大きくずれ込む可能性があります。
実際、08年度1次補正とその関連法案は民主党の協力もあり、提出からわずか18日間で成立しましたが、定額給付金を盛り込んだ2次補正では、参院で多数を占める野党の審議先延ばしなどもあり、提出から成立まで約2ヶ月も要してしまいました。 
今後の09年度補正予算の審議状況によっては政局が大きく動く可能性もあると思います。
今の政治の最大の課題は何よりもまず景気の回復です。
政局ありきの考え方は捨て、補正予算の早期成立のために与野党ともに努力すべきだと思います。  

 09年度補正予算については、100年に1度と言われる世界的な経済危機に対応するためにも、政府予算は約15兆円となっていますが、20兆円くらいの思い切った財政支出を行うべきではないかと考えています。
また、その予算の中身も重要ですが、今後成長が期待される分野や、医療・介護・福祉関連、中小企業対策、インフラ整備や環境・耐震対策、そして、雇用の創出につながるよう、重点的に配分されるようにすべきだと思います。
もちろん、同時に財源の問題も出てきますが、財政投融資特別会計の積立金や国債の発行なども含めて議論する必要があると思います。

景気回復のための国際戦略と地方経済

 先ほども述べましたが、日本に今、必要なのは景気回復だと思います。

 その為にも、まず、企業における研究開発の戦略が必要だと思います。
現在の我が国の経済の低迷は、今回の世界不況の理由以外にも、構造的な理由もあり、これまでのような景気対策を続けても得られる効果は薄いと思います。
もともと、我が国は基礎研究等の研究開発費の予算が先進国よりも少なく、他国に比べ、研究を軽視しているように思います。また、せっかく日本が先端技術を開発しても、知的財産に関する国際戦略に乏しいため、その技術や製品が世界に浸透せず、アメリカを始めとする他国のものが世界統一基準になってしまうことが多く見受けられます。
日本の優れた技術や製品を世界に浸透させ、日本の技術力を活かすことによって、少しでも景気を回復させるために、戦略を伴った研究・技術開発への支援強化など、先を見据えた政策を実行すべきだと思います。

 また、日本の景気の回復には、国際戦略の他に、地方経済の成長が不可欠だと思います。そして、それぞれの地方にはその底力があると私は確信しています。
記憶に新しいものでは、今年の1月、東大阪市の中小企業による人工衛星「まいど1号」打ち上げがありました。このように関西には優れた技術力のある中小企業が多くあります。地域それぞれが独自の、また、独創的な技術・研究開発に邁進し、競争することによってますます活性化していき、ひいては日本全体の元気につながっていくと思います。
これら企業が研究開発に邁進できるように、必要ならば、国が資金援助や更なる技術提供を行うべきだと考えています。

 同じ予算を組むにしても、ただ配分を決めるだけでなく、こうしたビジョンや方向性を打ち出して、国民が勇気と希望を持てるような政策を提言していくことが必要であり、これこそが政治家が行うべき仕事であると私は信じています。

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この記事を書いた人

左藤 章のアバター 左藤 章 元衆議院議員・学校法人大谷学園理事長

現在、学校法人大谷学園理事長。
防衛副大臣兼内閣府副大臣、衆議院安全保障委員長、衆議院文部科学委員長等を歴任。
情報通信、防衛、教育、司法など多岐にわたる分野で活動中。

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