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<2012年12月30日>TPPについて

 「TPPは、都合が悪ければ降りればいい」という言説がまかり通っていますが、これは間違いです。

TPPは一度参加してしまえば、途中で離脱することはできません。こちらの都合で入ったり抜けたりしていては国際的な信用に関わります。

 TPPには、ISD条項があります。農業分野もさることながら、金融や医療分野における問題も懸念されてしかるべきです。TPPは業種別に参加できるのではなく、一括パッケージでの交渉なのです。自由貿易はぜひとも推し進めるべきですが、その手段はTPPへの参加ではなく、国益を損じないようにEPA、FTAで二国間・多国間協議で丁寧に対応すべきです。
 ISD条項には、簡単に言えば「相手国の企業から輸入した商品が、自国の法律・制度の差別で売れなかった場合、その相手国企業に自国政府が損害賠償を払わねばならない」という側面があります。 

 例えば、大豆について考えてみましょう。
日本では、遺伝子組換えだと、その表示義務があります。納豆や豆腐などでよく「大豆(遺伝子組換えでない)」等という表示を目にしますね。
 しかし、アメリカでは遺伝子組換えの表示義務はありません。日本では、アメリカよりも遺伝子組換え製品に対して敏感なので、アメリカの遺伝子組換え大豆は、日本ではなかなか売れにくいことが予想されます。
 そこで、実際に売れなかったとしましょう。すると、その大豆を売るアメリカ企業はどうするでしょう。
「アメリカでは売れるはずの遺伝子組換え大豆が売れなかった。大損害だ!何故か」企業は考えます。日本の表示義務のせいだ!と。 

 そこでISD条項が関わってきます。「相手国企業から輸入した商品が、自国の法律・制度の差別で売れなかった場合、その相手国企業に自国政府が損害賠償を払わねばならない」。アメリカ企業はISD条項を盾に、日本政府を訴える事態が考えられます。日本の「遺伝子組み換え表示義務」の制度によって生じたアメリカ企業の損失分、これを日本政府が補償するようにと。そして司法の場で、損失の定義や、本当にその制度でアメリカ産大豆が売れなかったのかなどを審議、決着をつけます。

 この大豆の話はあくまで想定です。
 しかし、実際にオーストラリア政府はISD条項を盾に医療制度の分野で提訴されています。
EPAやFTAにおいてもISD条項はあります。ですが、分野毎に協議しているので、日本にとって不利益にならないように調整ができるわけです。
 一方、TPPは一括協議です。例外はありません。分野別の協議や調整というものが無いのです。しかもTPPの交渉相手は訴訟大国アメリカです。TPPは日本にとって懸念が大きすぎるのです。

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この記事を書いた人

左藤 章のアバター 左藤 章 前衆議院議員・学校法人大谷学園理事長

前衆議院議員 左藤 章
現在、自民党幹事長代理。学校法人大谷学園理事長。
防衛副大臣兼内閣府副大臣、衆議院安全保障委員長、衆議院文部科学委員長等を歴任。
情報通信、防衛、教育、司法など多岐にわたる分野で活動中。

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